購買力平価は、為替レートを決める理論で、スウェーデンの経済学者、カッセルによって提唱されました。
購買力平価は、2つに分けられます。
絶対的購買力平価
ちょっと理解を深めるために、根本的なことを考えてみましょう。
為替レートとは、どのように決まるのでしょうか。執筆時点で1ドルは約130円で取引されているので、為替レートは130円/ドルです。じゃあ、これはどうやって決まるのでしょうか。もちろん、現実にはさまざまな要因が複雑に絡み合っているため、一概には言えません。
しかし、カッセルは考えました。
「為替レートは、2つの国の通貨の『モノを買える力』によって決まるんじゃないか?」
と。とあるプーさんのDVDがあるとします。日本円だと390円で買えるとしましょう。ドルだと3ドルです。そうすると、390円=プーさんDVD=3ドルなので、
390円=3ドル
となります。
これを計算すると、1ドル=130円となります。だから為替レートは1ドル=130円だ!という考え方です。カッセルは天才ですね。
相対的購買力平価
こちらは簡単に言えば、2つの国の物価上昇比率によって為替レートが変化するという考え方から導かれるものです。
1ドル=130円の世界を想像してみましょう。これで日本のモノの価格(物価)だけが2倍になったとします。様々な複雑な要因を無視すれば、物価が2倍になると、通貨の価値は半分になります。
例えば、100円で買えたグミの値段が2倍になるということは、200円出さないと今までと同じグミを買えないということになります。これはお金の価値が下がっているということですよね。
よって、同じ1ドルと交換できる円も2倍の260円になります。よって為替レートは
1ドル=260円
ということになります。
もちろん絶対的購買力平価も相対的購買力平価も、厳密に言えば成り立ちません。なぜなら今回の例で言えば、プーさんのDVDやグミだけを考えましたが、これらの理論は他の財やサービスも全て同じ割合で価格変動するという前提によっているので現実ではそううまくはいきません。とはいえ、理論としてはすごく重要なモノであり続けています。
関連書籍
Purchasing Power Parities of Currencies: Recent Advances in Methods And Applications
関連・参考サイト
What Is Purchasing Power Parity (PPP), and How Is It Calculated?
Purchasing power parities (PPP)