割引とは、割り引くことです。といったら、そのままですから、具体例を出してみましょう。身近なところでいうと、値引きなんかも割引の一例になります。
あなたが仕事帰りに夜遅く、スーパーに寄ると普段は900円するお弁当が720円に割引されて売られているとします。この場合、2割引ですね。20%ディスカウントです。
ここで疑問に思うでしょう。お金に関する用語集になぜ、割引などという当たり前の単語があるのか。理由は単純です。
金融ではことあるごとに
割引まくるから。です。
ファイナンスにおける、最も重要な考え方の一つは、割引現在価値というものです。有名な2択クイズを出します。
今100万円もらうか
1年後100万円もらうか、
どっちがいい?
僕は間違いなく今です。なぜなら、今100万円貰えば1年間株式なり債券で運用して110万円くらいにはできるだろうからです。もしこの年間リターンが事実だとすれば、1年後の110万円=現在の100万円、といえます。
ということは!!!!!!!
1年後における100万円の価値は、現在においては100万円じゃないのです。もっと小さくなる。じゃあどれくらい?このときに何かしらの数字で割り引かなくてはなりません。この時の割引率の決定はいろいろあるのですが、とりあえず100万円を1年で110万円にできるのだから、10%だとしてみます。すると、計算はこんな感じ。
100万円/(1+0.10)≒90.9万円
1年後の100万円の今の価値は91万円くらいなのです。これを割引現在価値と呼んだりします。
これを聞いて「え?割引現在価値は普通に90万円じゃないの?なんで91万円?」となった方はいらっしゃいませんか?あなたに向けてもう少し補足します。まず90万円ではございません。最初の話を思い出しましょう。100万円を1年持てば110万円にできる。これは%に直すと「+10%」です。で、現在価値っていうのは、今いくら貰えば、1年後に+10%されて100万円になるか、というものなのです。つまり、91万円✖︎110%=100万円となるので、逆に計算するときは「1+0.1」で割るのです。
この考え方は、例が悪かったかもしれません。だって、必ず+10%になる保証はないのですから。しかしそれを叶えてくれるものがあります。長期の債券です。これに投資することでほぼ確実に一定のリターンが見込めます。だから、今100万円貰って長期債券を買えば、ほぼ確実に金利5%(実際は時によって変わります)で105万円とかにはなるのです。だから、割り引くときに使う割合は長期債券の数字を使うことが多いです。
実際には90万円だろうが、91万円だろうが、些細な差といえばそうともいえます。でも、ファイナンスは数字の世界なので、1円でも違えばそれは間違いです。100万円を1年間運用して+10%になるなら、90万円を1年間運用しても99万円にしかならないのです。割引の割合が10%の世界では、1年後の99万円=現在の90万円、なのです。
関連書籍
関連・参考サイト