ディヴィット・リカードは、イギリスの経済学者で、『経済学及び課税の原理』の著者としても知られています。自由貿易を擁護する理論を唱えました。
彼は生まれる直前にオランダからイギリスに移住してきたユダヤ人一家の3人目の子供(なんと17人兄弟!)だったのですが、ロンドン証券取引所の仕事を始め、富をなし、42歳で引退しました。耳の伝染病によって51歳で亡くなったのですが、その生涯で近代経済学における重大な功績を残しました。
中でも有名なモノの一つが、比較優位という考え方でしょう。
わかりやすくするために、シンプルに考えてみましょう。
プーさんと僕がいるとします。
プーさんはハチミツ1kgを10秒で食べます。僕はハチミツ1kgを1分で食べます。
プーさんはいちご1kgを30秒で食べます。僕はいちご1kgを30秒で食べます。
この場合、プーさんがハチミツ1kgといちご1kgを食べると40秒、僕は1分30秒かかります。よって合計でかかる時間は2分10秒になります。
次にお互いが比較的得意な方を担当して役割分担して食べるとします。具体的にはプーさんははちみつだけを2人分の2kg、僕はいちごを2kgです。
すると、プーさんは1kgを10秒で食べるので、2kgで20秒かかり、僕は1kgを30秒で食べるので、2kgを1分で食べきります。
するとあら不思議、合計時間が1分20秒に短縮されました。
今回の例は、イメージがつきやすいように早食いで考えてみたのですが、リカードは同じようなことが貿易で起きると考えました。
ある2つの国があったとして、それぞれが別々ではちみつといちごを生産するよりも、それぞれが相対的に得意な方だけを役割分担して、それを貿易で交換する方がトータルで効率がいい、というような発想です。
だから、自由貿易をするべきだ、ということですね。リカードは1823年になくなりますが、こうした理論的背景を武器にして、イギリスは世界中のいろいろな国に自由貿易を押し付けるようになり、その1つの典型例として1840年のアヘン戦争が起きるのです。
関連書籍
リカードの経済理論―価値・分配・成長の比較静学分析/動学分析
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