アダム・スミスは、スコットランド生まれの哲学者、経済学者で「経済学の父」と呼ばれます。著書は『国富論』『道徳感情論』です。
アダム・スミスといえば、「神の見えざる手」という言葉で有名なため、「それぞれの人がそれぞれの利益を追求したら、素晴らしい未来が待っているんだ!」というようなことを主張していたようなイメージを持たれがちです。
しかし、スミスはグラスゴー大学でフランシス・ハッチソンから道徳哲学を学んでおり、スミスの思想を理解するにおいては道徳の観点も非常に重要です。
スミスは当時のように秩序だった社会において人々が安心して安全に暮らすことができるのはなぜなのだろうか、どのような人間の本性が根幹にはあるのだろうか?と考えました。その結果、彼が思い至ったことを一言で言えば、同感(共感/Sympathy)です。
社会における様々な人々の感情が複雑に絡み合って社会秩序が形成されるのだと考えたわけです。彼とは違い、ハッチソンは「人間の一つの特殊な感情」が要因だと考えたのですが、これとは違い「複数の人間の様々な感情が要因なんだ」という主張が「The theory of morale sentiments(道徳感情論)」という複数形に現れています。
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