この記事の目次
日本の高度経済成長期の象徴的存在
新幹線:新幹線は日本の高度な技術と効率的な交通システムの象徴です。1964年、東京オリンピックの開催に合わせて開業した新幹線は、瞬く間に全国を旅する人々の人気交通手段となりました。また、新幹線は、ビジネスやレジャーのための移動を容易にすることで、経済成長を促進するのに貢献しています。
ソニーのウォークマン:1979年に発売されたソニーのウォークマンは、電気産業における日本のイノベーションを象徴する製品です。ウォークマンは、外出先で音楽を聴くことができるポータブルカセットプレーヤーで、瞬く間に世界中に広まりました。
東京タワー:1958年に建設された東京タワーは、戦後の日本の経済復興と世界的な経済大国への野望の象徴です。パリのエッフェル塔を模したこのタワーは高さ333メートルで、建設当時は日本で最も高い建造物でした。その後、東京のスカイラインのシンボルとして、人気の観光スポットになっています。
日本の高度経済成長がもたらした公害
高度経済成長期は経済的成功を収めた一方で、自動車や電機、造船などの工場から排出される排気ガスによる大気汚染も深刻化しました。ここでは高度経済成長期に日本で発生した4大公害病とその発生要因について解説します。
水俣病
水俣病は、1956年に日本の熊本県水俣市で確認された神経疾患です。この病気は、近隣の化学工場が周辺海域に放出した水銀が原因であり、汚染された湾内の魚介類が地元の人々に消費され、広く毒素にさらされることになりました。
水俣病の症状は、しびれ、筋力低下、震え、視力・聴力低下などで,、重症になると昏睡状態に陥り、死に至ることもあります。そのため、水銀汚染の原因となった化学工場は閉鎖され、日本ではより厳しい環境規制が設けられることになりました。
新潟水俣病
新潟水俣病は新潟県阿賀野川流域で1964年頃から発症が確認されました。熊本県水俣市で発症した水俣病と同じ水銀による公害病で、第2水俣病と呼ばれました。
イタイイタイ病
イタイイタイ病は、骨と腎臓に影響を及ぼす病気で、1950年代に日本の富山県で初めて確認されました。この病気は、近隣の採掘事業によって周辺海域に放出された有毒金属であるカドミウムにさらされたことが原因でした。
症状は、関節や骨の激しい痛み、貧血、腎不全などです。主に女性がかかり、この地域で栽培された汚染された米を摂取したことが原因で発症した場合が多いです。きっかけとなった鉱山は閉鎖されています。
四日市ぜんそく
四日市ぜんそくは、1960年代に日本の四日市市で初めて確認された喘息の一種です。近隣の石油化学工場から大気中に放出された二酸化硫黄や窒素酸化物へが原因で発症しました。
症状は、咳、呼吸困難などで、大気汚染の影響を受けやすい子どもたちが主に発症しました。
高度経済成長期に、多くの発展があったことは確かですが、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染などにより様々な公害病があったということも忘れてはいけません。
高度経済成長期から得た教訓とは?
戦後の日本の高度経済成長は、しばしば他の発展途上国の模範として引き合いに出されます。ここでは、この高度経済成長期に日本が学んだ重要な教訓を2つ解説していきます。
政府による経済への強い介入
日本が高度経済成長を遂げた重要な要因のひとつに、政府が果たした役割があります。日本政府は、補助金や税制優遇措置など、製造業を幅広く支援しました。また、政府は民間企業と密接に連携して新技術や新製品の開発に取り組み、研究開発にも多額の資金を提供しました。このような官民の緊密な連携により、高品質な製品を低コストで生産できる競争力の高い製造業が形成されたのです。
品質と顧客サービスの重要性
日本企業は、競合他社よりも耐久性や信頼性の高い高品質な製品を製造することに重きを置いていました。この品質へのこだわりが、日本製品のブランドイメージを高め、日本製品への需要を世界に広めることにつながりました。
また、日本企業は顧客サービスにも重点を置いていました。顧客一人ひとりのニーズに応えること、そして顧客からのクレームを迅速かつ効果的に解決することで顧客からの強い信頼を勝ち取ったのです。
もう一度強い日本を!
まとめ
高度経済成長期は、「戦後日本の経済の奇跡」とも呼ばれ、日本経済と国民に多くの好影響を与えました。所得の増加は購買力の向上に繋がり、個人がより多くの商品やサービスを購入することを可能にし、経済活動をさらに活性化させました。また、企業が国際競争力を維持するために、通信、コンピューター、自動車などさまざまな分野に投資するようになり、新技術の導入により、医療、教育、建設など多くの分野で進歩が見られたのです。
このことは、今日の日本経済に大きな影響を与え、国民の健康な生活水準とともに、
世界有数の経済大国としての日本を維持する重要な時期となっています。
関連書籍
①戦後経済史: 私たちはどこで間違えたのか
②高度成長: シリーズ 日本近現代史 8
執筆:たなか
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